騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

2022-01-01から1年間の記事一覧

殺人鬼ノーム

庭のこびとノームから身を守る方法 チャック・サンプチーノ著 ふらっと立ち寄った図書館で目について借りた本。 赤い三角帽をかぶった小人のおじいさん、ノーム。 その存在は、知るともなく知っている。 映画アメリにも出てきたし、 どこの家の庭にもある、…

自然と感性

みどりのゆび モーリス・ドリュオン著 この本を読んでまず思ったのが その世界観も登場人物の設定もまるで違うけど バーネットの秘密の花園と似ているなと。 秘密の花園は、イギリスに住むネグレストされた子どもの頑なだった心が 草花にふれることで癒やさ…

お菓子のない人生なんて

お菓子の大舞踏会 夢野久作 著 夢野久作といえば、ドグラマグラ。 私はドグラ・マグラしか読んだことがない。 ドグラ・マグラのチャカポコチャカポコ・・・が辛すぎて なんとか読破したものの、チャカポコしか覚えていない。 以来、夢野久作の本を手にとるこ…

クズ夫の妻たるもの

ヴィヨンの妻 太宰治 著 私はとくに太宰のファンというわけではないので 太宰といって思い浮かぶのは、 「人間失格」「走れメロス」「斜陽」くらいである。 3作品とも確かに本を読んだのだが、内容を覚えていない。 どういう話だったっけ? 「斜陽」は 読後…

人形の存在

りかさん 梨木香歩 著 ―ひな祭りのプレゼントにリカちゃん人形をリクエストしたら おばあちゃんから送られてきたのは市松人形のりかさんだった― 確かにどちらも人形であるし、 同じ名前だから間違ってはないけれど 期待していたプレゼントとはずいぶん違う。…

バカ最強説

イワンの馬鹿 トルストイ著 この物語を読んでますますバカ最強説を唱えたくなってしまった。 何も考えない、考えられない人、 世の理になんの疑問を持たず、 目に見えているものが全てと信じて疑わない人、 ことの複雑さを理解できない人、 そんなバカの方が…

悪くない魔女

ラプンツェル グリム童話 塔に幽閉された髪の長いお姫様が王子様に助けられるお話だと (ディズニー版は知らない)と思っていたが そんなわかりやすい勧善懲悪な物語ではなかった。 そもそも、ラプンツェルはお姫様ではなく一般庶民だ。 つい童話に出てくる…

ただ、淋しくて悲しい

赤いろうそくと人魚 小川未明 アンデルセンの人魚姫は悲恋の物語だが 王子とその花嫁の幸せな結婚という明るい要素と 恋は叶わなかったけれど 自己犠牲を尽くした人魚姫が永遠の魂を得るという救いがあるから ハッピーエンドとも言えなくもない。 だがこの小…

全員ルッキスト

白雪姫 グリム童話 誰もが知ってる白雪姫の物語。 美しい白雪姫に嫉妬した継母が 彼女の殺害をたくらむが 何度か失敗し、 なんとか毒りんごを食べさせて、やっと殺害成功!悲願達成! かと思ったら、 実は死んでなくてりんごが喉に詰まっていただけだった。 …

夢膨らむお菓子の家

ヘンゼルとグレーテル グリム童話 パンの本を読んだからか パンと同じくらい魅惑的なお菓子のことが気になって ヘンゼルとグレーテルを思い出した。 ヘンゼルとグレーテルと言えばお菓子の家。 その甘くてメルヘンな様相から 可愛らしい童話を想像しがちだが…

パンのない人生なんて

いつものパンがあなたを殺す Grain Brain デイビッド・パールマター/クリスティン・ロバーグ 著 白澤卓二 訳 三笠書房 私はパンが大好きだ。 ケーキも好きだがどちらか選べと言われたら 迷わずパンを選ぶ。 スコーンとパンのどちらかを選べと言われたら・・…

ガーデニングの癒し

秘密の花園 フランシス・ホジソン・バーネット著 説明するまでもない有名文学作品で 私がバーネットの作品の中で一番好きな物語だ。 主人公のメアリとコリン、 二人とも全然いい子じゃなくて 可愛げもないところが好きなのだが とんでもなくわがままでいつも…

貯金生活

れんげ荘 群ようこ著 ハルキ文庫 有名広告代理店を45才で早期退職して 貯金だけで生活すると決めたキョウコ。 家賃3万円のボロアパートに引っ越し、 月10万円で慎ましく心穏やかに暮らす。 現在無職の私は、 主人公キョウコの貯金生活に親しみを覚える…

おしゃれしたい気持ちは罪なのか

赤いくつ アンデルセン著 この有名な物語は、宗教色が濃くて クリスチャンではない私にはちょっと受け入れ難い。 赤い靴を少女にプレゼントしたのが 少女の母親の葬式の日とは、 ちょっと意地悪じゃないか。 だけど靴も買えないくらい貧乏な少女が 赤い靴を…

映画化したくなる物語

みんなワッフルにのせて ポリー・ホーヴァート著 代田亜香子訳 白水社 私がポリー・ホーヴァートを知った最初の本。 (ホヴァート?ホヴァス?発音がわからない) 「ブルーベリーソースの季節」も 「サリーおばさんとの一週間」も好きだけど イチオシはこの…

女性の結婚と仕事

続・あしながおじさん ジーン・ウェブスター著 新潮社 あしながおじさんの続編で原題は、DEAR ENEMY。 親愛なる敵様といったところだろうか。 敵様とは、孤児院院長のサリーが 手紙を送る仕事仲間の医師マクレイ先生のこと。 あしながおじさんの物語は、 ジ…

こんな風に生きれたら

Heaven? 佐々木倫子著 フレンチレストラン Loin d’ici(ロワン ディシ)=この世の果て Loin d’iciとは、 直訳すると “ここから遠い場所”。 繁華街からも駅からも利益からも遠い、 そして何よりも現実から遠いレストラン。 このレストランを“この世の果て化”…

自分が自分でいられること

窓ぎわのトットちゃん 黒柳徹子著 いわさきちひろ絵 この本をはじめて読んだのは小学校5年生の時。 この頃の私にとって黒柳徹子は、 “TVに出てるちょっと変わったおばさん” という認識だったから このおばさんのこどもの頃の話は 面白そうだと思ってこの本…

金銭にシビアなクマ

くまのパディントン マイケル・ボンド著 Yahooニュースで イギリスのエリザベス女王と お茶をするパディントンの映像を見た。 エリザベス女王の在位70年を祝う 祝賀コンサートの冒頭で流れた映像らしい。 バッキンガム宮殿で女王とお茶するクマ。 なんてイギ…

自分だけの世界がほしい

誰も知らない小さな国 コロボックル物語 佐藤さとる著 村上勉絵 小人の物語の定番、セオリーと言えば 小人の敵と味方の攻防を描いた物語だろう。 小人の味方となるのは、たいてい子供で 敵は大人、小人で金儲けしようとする人や 小人の世界を壊そうとする人…

面倒くさいの根底にあるもの

生きるのが面倒くさい人 ~回避性パーソナリティ障害~ 岡田尊司著 朝日新聞出版 <回避性パーソナリティ障害> ー自分に自信が無くて人から批判されたり 恥をかくのが怖くて社会や人を避けてしまう。 愛されたいが冷たい仕打ちが怖くて相手に近寄れないー …

神さま次第

ミシェルのゆううつな一日 マルティナ・ヴィルトナー著 岩波書店 ミシェルは、14才の女の子。 背が低くて、自分の名前が嫌い。 ママとパパは別居中で 学校でリディアにいじめられている。 なんかうまくいかなくて、 やることなすことすべて失敗の日。 負の…

老いと孤独

ジオジオのかんむり 岸田衿子著 中谷千代子絵 福音館書店 ジオジオは、王様のライオン。 誰もが恐れる強い王様。 ピカピカ光る冠を見ただけで皆、隠れてしまう。 強者の孤独。 強者の王様も年をとる。 老いを感じた時、さらなる孤独が襲ってくる。 私は強者…

夢見る少女の会

いたずらおばあさん 作者:高楼 方子 フレーベル館 Amazon 夢見る少女の会とは、 「いつまでも少女の心のままだから 少女達の気持ちがよくわかる」と 認知機能がバグっている、 どこでもけたたましく喋り倒す、 迷惑千万なBBAの集まりの会のこと。 1枚着ると…

12才の生と死

オリーブの海 作者:ケヴィン ヘンクス 白水社 Amazon 事故で死んだ同級生の日記の1ページが届く。 ほとんど口をきいたこともないオリーブの日記に マーサと友達になりたいと書いてある。 日記を読んだ日からそれが頭から離れなくなる。 誰にもそのことを話…

ゆきて帰りし物語

ホビットの冒険 (全1冊) (岩波少年文庫) 作者:J.R.R.トールキン 岩波書店 Amazon 家に突然、知らない人がワラワラ14人も 押しかけきて勝手にごはんを食べて 宴会を始めたらどうする。 怒る、そして警察に通報する。 そのうえ、祖国を取り戻す旅に同行…

視えますか。

超常現象の科学 なぜ人は幽霊が見えるのか 作者:リチャード ワイズマン 文藝春秋 Amazon 幽霊を信じるかと聞かれれば、 信じているわけではないが全否定もしないと答える。 子どもの頃は信じきっていた。 何かを視たわけじゃないが否定する理由もなかった。 …

夫婦だから似てるのか、似てるから夫婦なのか

アッホ夫婦 (ロアルド・ダールコレクション 9) 作者:ロアルド ダール 評論社 Amazon アッホ夫婦 The Twits タイトルがアレだし、ダールなので 他の人があまり書かないようなことを 書いてるんだろうなとは想像した。 が、不潔な夫婦の吐き気がするほどの不潔…

未来をみる

春のウサギ 作者:ケヴィン・ヘンクス 小学館 Amazon かわいそうな私。 2才の時、お母さんがガンで死んだ。 だからお母さんのことは覚えていない。 いつも憂鬱なお父さん。 オブライエンさんがよく言う。 「かわいそうなアミーリア」 両親が “夫婦の絆をたし…

ヘルジャパン

モヤる言葉、ヤバイ人~自尊心を削る人から心を守る「言葉の護身術」 作者:アルテイシア 大和書房 Amazon 日本に住む女性で 一度もハラスメントを受けたことがない人がいるだろうか。 セクハラ・パワハラ・モラハラ・マタハラ・・・・ 「いい奥さんになれるよ…