騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

全員ルッキスト

白雪姫  グリム童話  

        

誰もが知ってる白雪姫の物語。

美しい白雪姫に嫉妬した継母が

彼女の殺害をたくらむが

何度か失敗し、

なんとか毒りんごを食べさせて、やっと殺害成功!悲願達成!

かと思ったら、

実は死んでなくてりんごが喉に詰まっていただけだった。

と、ちょっとマヌケな魔女のおかけで死を免れた白雪姫が

ふらっと現れた王子様と結婚するという

ハッピーエンド(なのか?)物語。

    

ちゃんと白雪姫を読んだのは初めてかもしれない。

何故なら、こんなひどい物語だったのかとショックを受けているからだ。

この物語のテーマはズバリ、ルッキズム

外見至上主義バンサイ!だ。

つい小人やお姫様とキラキラしたものに惑わされてしまうが

全編通して、容姿が優れていれば何もしなくていいと

可愛ければオールOK!と言っているのだ。

 

白雪姫は、継母に命を狙われてるとわかってるのに用心も対策もしない。

どころか、

小人たちに家に人を入れてはいけないと言われているのに

人を家に入れ、殺されかかる。

にもかかわらず、同じこと繰り返してついに仮死状態になる。

バカなのか?

                

何度もやらかすおバカな姫を小人たちは怒りもせず、

ついに死んでしまった(仮死)白雪姫を美しいからという理由で

土に埋めずガラスの棺に寝かせ、交代で番をする。

森の動物達も白雪姫が美しいからと集まってくる。

そして、とどめは王子様だ。

 

棺に横たわる美しい白雪姫を見て、譲って欲しいと言い出す。

のちに仮死状態だったとわかるけど、

王子が一目惚れしたのは、棺に入った人間、つまり死体だ。

美しければ死体でもいいのか。

目を覚ました白雪姫に

「あなたは世界で一番可愛いから結婚しましょう。」と悪びれもせず

容姿が優れてるから結婚したいと明言している。

それを快諾する白雪姫もどうかしているが

まあ、彼女も王子の容姿が気に入ったのかもしれない。

自分が一番美しくありたいと美に囚われた継母は、

ルッキストであり、ルッキズムの被害者でもある。

美しいからと殺されそうになる白雪姫も被害者だろうが

美しいからこそ命を救われたことを考えると

美の恩恵にあずかる恵まれた人間とも言える。

だけど美しいだけで自分では何もしない、何も考えない白雪姫は

美人=おバカという偏見そのもので

継母がルッキズムの権化なら

白雪姫は、ルッキズムの象徴かもしれない。

 

そして

泣いて命乞いする白雪姫が美しいからと逃した狩人、

白雪姫が美しいからと甘やかす小人たち、

白雪姫が美しいから結婚したい王子様、

間違いなく、全員ルッキスト。

 

この物語に一体どんな教訓があるのだろう。

美しさが何にも勝るってこと?

美しければ、それ以外はどうでもいいってこと?

ああ気分がわるい。