騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

お菓子のない人生なんて

お菓子の大舞踏会    夢野久作 著

夢野久作といえば、ドグラマグラ

私はドグラ・マグラしか読んだことがない。

ドグラ・マグラのチャカポコチャカポコ・・・が辛すぎて

なんとか読破したものの、チャカポコしか覚えていない。

以来、夢野久作の本を手にとることはなかったが

「お菓子の大舞踏会」というタイトルに惹かれて読んでみた。

これが夢野久作の作品なのかと驚いた。

タイトルは可愛いけどきっと難読なのだろうと予想していたのに

反してタイトルそのままにお菓子が踊る童話である。

 

お菓子の食べすぎは体によくないと

子どもへの注意喚起を目的に作られたような童話だ。

お菓子が大好きな五郎くんがお菓子をたくさん食べたら

そのお菓子たちがお腹の中で踊りだして、腹痛で苦しい思いをする。

なんのひねりもない話。

     

お菓子は美味しい。

お菓子で腹を満たしたいと思うし、

実際、そんな日もある。

毎日お菓子だけを食べるのは体によくないとわかりきっているが

お菓子を口にすると心が癒やされ、メンタルが落ち着くのも事実だ。

 

1年9ヶ月の無職期間を経て今月から勤労生活に戻った私は

無性にお菓子を欲する。

仕事終わりにスーパーに行くと、

ふらふらとお菓子コーナーに吸い寄せられ、

こってり甘いチョコレートを手にしていたりする。

無職中だってお菓子を食べていたけれど、

その時の欲求と今の欲求は全然レベルが違う。

 

お菓子を口にすると

慣れない職場に緊張し、久しぶりの労働に疲れている体が緩む。

体中から「ほえ~」とふぬけた声が聞こえる気がする。

お菓子には、幸せホルモンが含まれているのだろうか。

 

ストイックに、体のためにとお菓子を食べない人がいる。

自己管理のできない子どもにたくさんお菓子を与えるのは良くない。

体のことを考えたら大人も子どもも

お菓子を食べない方がいいに決まっている。

しょっぱいお菓子は、油と塩分まみれで

甘いお菓子は、砂糖漬けだ。

 

健康で肥満知らずならそれでいい?

そうかもしれない。

でもお菓子のない人生なんて。

 

    

 

甘いチョコを口にした時の頭のてっぺんから力が抜けていく感じ。

しっとりと重たいドーナツが口の中で溶けていく感じ。

ポテチの袋を抱えて無心にバリバリと頬張る時間。

想像するだけでこんなにうっとりと幸せだ。

お菓子のない長い人生より

お菓子と生きる短い人生を私は選ぶ。