騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

金銭にシビアなクマ

くまのパディントン

マイケル・ボンド

 

Yahooニュースで

イギリスのエリザベス女王

お茶をするパディントンの映像を見た。

エリザベス女王の在位70年を祝う

祝賀コンサートの冒頭で流れた映像らしい。

                          

バッキンガム宮殿で女王とお茶するクマ。

なんてイギリスらしいんだろう。

と微笑ましく思ったが

一目でそのクマがパディントンだと

日本人の私でもわかるくらい有名だけど

どんなお話だっけ?           

映画は見た。

子供向けだろうと侮っていたら

面白くて、1、2共にお気に入りの映画になった。

原作は、読んだことがないから早速買って読んだ。

                       

暗黒の地ペルーから

こっそり船に乗ってイギリスにやってきた

マーマーレードが大好物のクマ。

クマの名前は、人間には発音できないので

出会った駅名と同じパディントンと名付けて

家に迎え入れるブラウン一家。

パディントンは、行く先々で騒動をおこす。

「ぼくって、そういうたちのクマなんです。」

 

どんな大騒ぎを引き起こしても

ブラウン一家も

騒ぎに巻き込まれた人たちも怒らない。

きっと

能天気で明るくて細かいことは気にしなくて

いつも楽しそうなパディントンだから

心の広い優しい人ばかりが集まるのだ。

 

と、これじゃただの

“みんないい人話”で胡散臭くて

こんなに人気が出るはずがない。

パディントンの人気は、

可愛いクマが巻き起こす

騒動の面白さだけじゃないだろう。

                 

地下鉄の切符自販機に4ペンスも入れたのに

出てきたのが紙切れ1枚なんて!と

不満たらたらで、

劇場では、プログラムの6ペンスと

コーヒーの2シリングにびっくりして、

6ペンスも払ったオペラグラスを

返却しなきゃいけないと知って大憤慨する。

「6ペンスあれば菓子パンが3つも買えるのに!」

 

どうやら金には厳しいパディントン

グルーバーさんにもらった誕生日プレゼントの

1ポンド金貨に大喜びする様なんて

拝金主義なのかと笑ってしまう。

                 

資本主義国家に生きる厳しさを

小さなクマが叫んでいるのが面白い。             

値上げラッシュの日本で

買い物する度に絶望する無職の私は、

パディントンのシビアな金銭感覚に

共感と親しみでいっぱいだ。

しかし。

異国出身でおそらくまだ子供のクマ

(本人も自分の歳を知らない)

その金銭感覚は、どこで身につけたのだ?