騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

完璧なこども

小公子 フランシス・ホジソン・バーネット 著 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ バーネットの「秘密の花園」と「小公女」が大好きで何度読んだかわからないくらい読み返している。最近また読み返していたらや…

ムーミンって何?

埼玉の飯能にあるムーミンバレーパークに行こうと思い、 行く前にムーミン物語の作者のトーベ・ヤンソンについて書かれた本を読んだ。 ずっとトーベ・ヤンソンは児童文学作家だと思っていたのだが 最初は、社会風刺画家として世に知られるようになったと知っ…

9月になると思い出す

今は手放してしまったけど、毎年9月になると思い出す絵本。 九月姫とウグイス 文 サマセット・モーム 訳 光吉夏弥 絵 武井武雄 持っていた頃は、季節の絵本を玄関に飾るのを楽しみにしていて なかでもこの絵本はお気に入りだったから 早くこの絵本を飾りた…

男は老いて神となり、女は老いて妖怪となる

狙われた身体 病いと妖怪とジェンダー 安井眞奈美 著 「妖怪とジェンダー」この言葉を見た時、何かが私の中で合点して ジェンダー=得体のしれない異性の性質と読み解けば 妖怪に女性が多いのもわかると本を読む前から妙に納得した私。 雪女、姑獲鳥、砂かけ…

わたしも眠れないのぉおおお

あたし、ねむれないの カイ・ベックマン作 ペール・ベックマン絵 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 図書館で「あたし、ねむれないの」という絵本を見つけて、速攻借りた。 私のことやん。って思って。 デフォ不…

そっくりな絵本 

とんでもなく暑いので目だけでも涼しくなろうと 図書館で「雪」の文字の入った絵本を探した。 で、借りたのが「ゆきのひのおくりもの」。 この絵本は、うつになって物を捨てまくる前に持っていて お気に入りでよく部屋に飾っていた絵本だ。 私が持っていたの…

読みくらべ

「まどのそとのそのまたむこう」 大好きなモーリス・センダックの絵本。 この絵本の絵をかわいいと思う人は少ないかもしれない。 どの絵も暗く、写実的なようでいて現実離れしていてとってもセンダックらしい。 一番可愛いはずのあかちゃんがとっても不気味…

パンはしあわせの食べ物

ジオジオのパンやさん 岸田衿子作 中谷千代子絵 大好きな絵本「ジオジオのかんむり」は 読み終わった後、やさしい気持ちになれるが 王者の老いと孤独がテーマになので悲しさや切なさもある。 しかし、この本(絵本というには分厚い)のジオジオにはそんな哀…

かわいさに心が和む

せかいいちのいちご 林 木林 作 庄野ナホコ 絵 森のくまさんといちごの絵ならそんなに違和感を感じないが 氷の国に住むしろくまがいちごを大事そうにみつめいている表紙絵は ちょっと意外で目に止まった。 絵本をめくってみれば「かわいい~♪」って言葉しか …

鉛筆で描かれた犬が愛おしい

アンジュール ある犬の物語 ガブリエル・バンサン 鉛筆でさらっと描かれた下書きのような絵だけの絵本。 文章はない。 初めて本屋で見かけたときはびっくりした。 これで出版できるの?って。 こんなラフな絵で? 下書きのままで?って。 でも手にとってちょ…

ドードーに会いたい

ドードーをめぐる堂々めぐり 川端裕人著 :::::::::::::::::::::::::::::::::::: ドードー鳥、とっても気になる。 特に鳥が好きなわけではないのに ドードーのイラストがプリントされたグッズなど見ると欲しくなる。 可…

犬と猫がいればいい

子のない夫婦とネコ 群ようこ著 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 大好きな群ようこの短編小説集。 犬猫の写真を観ているわけでもないのに 文字を追ってるだけなのに まるで目の前にいる犬猫を愛でているかのよ…

犬生は人間次第

ある女の子のための犬のお話 ダーチャ・マライーニ著 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ この本の「わたし」が関わった犬の物語集。 アイスクリームが好きな犬、文句ばっかり言う犬、飛ぶことが大好きな犬。 可愛くてちょっと…

すべてに意味を求めてはいけない

人生なんて無意味だ ヤンネ・テラー 著 意味のあるものなんてこの世には何もない。 ものはみな始まったとたん終わりに向かっている。 だから何をしても意味がない、無益だ。 自分の存在意義、人生の意味。 人生について世界についておぼろげに見えてきた思春…

傷を笑いにかえる

秘密のノート ジョー・コットリル著 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 前回の「レモンの図書室」と同じ著者の本。 「レモンの~」がドストライクに好みだったので図書館で迷わず借りてきた。 「レモンの~」はヤング…

わたしは大丈夫という呪文

レモンの図書室 ジョー・コットリル著 本が大好きなカリプソはいつも一人。 でも大丈夫、ひとりでも幸せだ。 ママが子供のころに読んでいた本に囲まれて幸せ。 自分の一番の友だちは自分、頼りになるのは自分の強い心だけ。 そうパパに教えられて生きてきた…

本を眺める楽しみ

私の本棚 新潮社編 本が好きだ。 もちろん文章を読むのが好きなわけだが それ以上に本の存在そのものが大好きだ。 “モノ”としては紙の集合体にすぎないけど その中は文字や絵や写真を通して未知の世界が広がっている。 だからだろう、本の背表紙を眺めている…

ルッキズム支配

かわいい子ランキング ブリジット・ヤング著 衝撃的なタイトルとかわいい装丁で手に取らずにはいられなかった本。 今の時代、かわいい子ランキングなんてあっていいのか? 生徒たちに突然送られてきた8年生の女子のかわいい子ランキング。 1位から50位までの…

言葉の怖さ

パッとしない子 辻村深月著 小学校教師が国民的アイドルのかつての教え子に再会し、 先生と二人で話がしたいと言われ、気分良く応じたら 聞かされたのは自分が過去に言った彼と彼の弟を傷つけ言葉の数々。 あなたが放った言葉で如何に傷ついたか、 どれだけ…

人間も動物も結局見た目

やさしいライオン やなせたかし著 やなせたかしと言えばアンパンマンを思い浮かべる人が多いだろうが 私は「やさしいライオン」と「チリンの鈴」、 この2冊の絵本を思い出す。 大好きで大事な2冊の絵本。と言っても手元にはない。 好きなら買って手元に置い…

殺人鬼ノーム

庭のこびとノームから身を守る方法 チャック・サンプチーノ著 ふらっと立ち寄った図書館で目について借りた本。 赤い三角帽をかぶった小人のおじいさん、ノーム。 その存在は、知るともなく知っている。 映画アメリにも出てきたし、 どこの家の庭にもある、…

自然と感性

みどりのゆび モーリス・ドリュオン著 この本を読んでまず思ったのが その世界観も登場人物の設定もまるで違うけど バーネットの秘密の花園と似ているなと。 秘密の花園は、イギリスに住むネグレストされた子どもの頑なだった心が 草花にふれることで癒やさ…

お菓子のない人生なんて

お菓子の大舞踏会 夢野久作 著 夢野久作といえば、ドグラマグラ。 私はドグラ・マグラしか読んだことがない。 ドグラ・マグラのチャカポコチャカポコ・・・が辛すぎて なんとか読破したものの、チャカポコしか覚えていない。 以来、夢野久作の本を手にとるこ…

クズ夫の妻たるもの

ヴィヨンの妻 太宰治 著 私はとくに太宰のファンというわけではないので 太宰といって思い浮かぶのは、 「人間失格」「走れメロス」「斜陽」くらいである。 3作品とも確かに本を読んだのだが、内容を覚えていない。 どういう話だったっけ? 「斜陽」は 読後…

人形の存在

りかさん 梨木香歩 著 ―ひな祭りのプレゼントにリカちゃん人形をリクエストしたら おばあちゃんから送られてきたのは市松人形のりかさんだった― 確かにどちらも人形であるし、 同じ名前だから間違ってはないけれど 期待していたプレゼントとはずいぶん違う。…

バカ最強説

イワンの馬鹿 トルストイ著 この物語を読んでますますバカ最強説を唱えたくなってしまった。 何も考えない、考えられない人、 世の理になんの疑問を持たず、 目に見えているものが全てと信じて疑わない人、 ことの複雑さを理解できない人、 そんなバカの方が…

悪くない魔女

ラプンツェル グリム童話 塔に幽閉された髪の長いお姫様が王子様に助けられるお話だと (ディズニー版は知らない)と思っていたが そんなわかりやすい勧善懲悪な物語ではなかった。 そもそも、ラプンツェルはお姫様ではなく一般庶民だ。 つい童話に出てくる…

ただ、淋しくて悲しい

赤いろうそくと人魚 小川未明 アンデルセンの人魚姫は悲恋の物語だが 王子とその花嫁の幸せな結婚という明るい要素と 恋は叶わなかったけれど 自己犠牲を尽くした人魚姫が永遠の魂を得るという救いがあるから ハッピーエンドとも言えなくもない。 だがこの小…

全員ルッキスト

白雪姫 グリム童話 誰もが知ってる白雪姫の物語。 美しい白雪姫に嫉妬した継母が 彼女の殺害をたくらむが 何度か失敗し、 なんとか毒りんごを食べさせて、やっと殺害成功!悲願達成! かと思ったら、 実は死んでなくてりんごが喉に詰まっていただけだった。 …

夢膨らむお菓子の家

ヘンゼルとグレーテル グリム童話 パンの本を読んだからか パンと同じくらい魅惑的なお菓子のことが気になって ヘンゼルとグレーテルを思い出した。 ヘンゼルとグレーテルと言えばお菓子の家。 その甘くてメルヘンな様相から 可愛らしい童話を想像しがちだが…