騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

こんな風に生きれたら

Heaven?  佐々木倫子

 

フレンチレストラン

Loin d’ici(ロワン ディシ)=この世の果て

Loin d’iciとは、

直訳すると “ここから遠い場所”。

繁華街からも駅からも利益からも遠い、

そして何よりも現実から遠いレストラン。 

 

                               

 

このレストランを“この世の果て化”してるのは、

超マイペース自己中わがままオーナー黒須仮名子。

美味しいフレンチと酒を思う存分

自分が楽しむために開業したのだから、

そもそも客に対するサービスの概念がない。

顧客満足 < 自己満足

 

サービス業に携わる人間として

レストラン経営者として

誰が見ても最低で

一緒に働く人にとっては、最悪のオーナー。

 

そんな黒須のキャラが強烈すぎて

他のキャラがつい、まともに見えてしまうが

そんなこともない。

サービス業なのに笑顔が苦手な伊賀クン。

行く先々の店が潰れる小澤シェフ。

元銀行員で資格マニアの山縣さん。

原価計算が細かい元牛丼屋店長、堤さん。

愛されキャラだけど頭がお花畑の川合クン。

黒須オーナーとは、絶対一緒に働きたくないけど

他の面々も中々手強そうだ。   

      

想定どおり、

黒須に振り回される人達の様子が

面白くて笑える漫画だけど

黒須のように図太く生きられたら

どんなにいいかと読む度に思う。

周りの目など気にせず、自己を貫く。

やりたくないことはやらない、

自分のしたいことだけする。

自分の力で自由に生きる、常識には囚われない。

(というか、常識という言葉は黒須の辞書にはない)

 

めちゃわがままで気分屋で

理不尽なことばっかり言うけど

周りは、振り回されて迷惑してるけど

そんなこと知ったこっちゃない。

 

美味しいフレンチが食べたいからって

店を開業できる人はそうはいない。

本業は、小説家でそこそこヒット作があって

借金なしで店を開業するなんて

自立した立派な大人というか

勝ち組の成功者だ。

                  

過度な同調圧力がはびこる日本で

自己を貫くことが難しい現実に生きる私は

憧れるよ、黒須仮名子。

サイコーにかっこいい。

       

同著者の漫画、「動物のお医者さん」に

出てくる菱沼聖子も

黒須仮名子とは違う意味で自己を貫いている。

2人のように生きれたらといつも思う。

まあ、周りは大変だけど・・・

こんな人近くにいたら逃げるけど・・・ね。