騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

おしゃれしたい気持ちは罪なのか

赤いくつ  アンデルセン

 

この有名な物語は、宗教色が濃くて

クリスチャンではない私にはちょっと受け入れ難い。

             

赤い靴を少女にプレゼントしたのが

少女の母親の葬式の日とは、

ちょっと意地悪じゃないか。

 

だけど靴も買えないくらい貧乏な少女が

赤い靴を手にした時は、そりゃあ嬉しかったろうし

葬式といえどもそれしか靴がないのだから

その靴を履いて当然だろう。

そして赤い靴を初めて履いた日に

裕福な婦人に引き取られて

貧乏から抜け出せたのだから

今の幸せはすべて赤い靴のおかげだと

思ってしまうのも仕方がない。

少女にとって赤い靴がラッキーアイテム、

お守りのようなものだったのではないだろうか。

 

           

 

赤い靴が履きたいという少女の願望は

青白く冷たく骸骨になるまで

踊り続けなければならないほどの罪なのだろうか。

養母の看病をせず、

ダンスパーティーに行ったのは確かに悪い。

でもそれにしたって

どうしても脱げない赤い靴を

足ごと切り落として自分の行いを悔い、

教会へ行こうとする少女の前を

切り落とした赤い靴が踊っていくなんてホラー過ぎる。

こんな怖い演出で少女を追い詰める神様って

ホントに神様? 悪魔じゃないの?

 

着飾ったお姫様と

おしゃれしたり、晴れ着を欲しがる

牧師の家のこどもが罰せられないのは、

不公平としか言いようがない。

貧乏に生まれたこどもは、神様からも

不当な扱いを受けるんだろうか。

神様も忖度するとは、格差社会も終末だ。

最後には許しを与えられるけど

結局少女は、死んでしまうのだ。

 

           

 

7つの大罪を犯した人間が罰せられるのは、

キリスト教的に当然なのかもしれないが

罰し方が暴力的で全く許容できないし、

そもそもキリスト教は、

善悪が極端で道を外した人間に残酷すぎる気がする。

 

赤い靴に魅了されただけで

死をもって償うはめになった少女の

悲惨で短い人生が可哀想すぎて

たとえ少女が天国に行ったとしても

クリスチャンじゃない私には、

なんとも読後の悪い物語だ。