騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

夫婦だから似てるのか、似てるから夫婦なのか

アッホ夫婦  The Twits     

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タイトルがアレだし、ダールなので

他の人があまり書かないようなことを

書いてるんだろうなとは想像した。

が、不潔な夫婦の吐き気がするほどの不潔っぷりに気持ち悪くなり、

不潔夫婦の騙し合いと不愉快ないたずらを

ずっと読まされるのはかなわないと本を閉じそうになった。

想像してたより胸糞悪い。

 

しかし、それはダールの狙いのようでもある。

人間は、性悪で意地悪になると外見がこんなにも

醜くなると言っている。

美醜とは容姿の造形をさすのではなく、

心根の美しさ醜さのこと。

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性悪夫婦は、お互いに罵り合い、騙し合っているが

その性悪、意地悪と言う共通点で実は固く結束している。

なので、その意地悪が外に向かうと容赦ない。

自分たちの利益の為なら他人がどうなっても構わない、というか

他人を慮る頭を持ち合わせていない。

 

だけどこの夫婦、基本的にアホなのでその意地悪も詰めが甘い。

そこを意地悪をした相手に出し抜かれ、

まんまと仕返し、それもえげつない仕返しをされる。

読んでる私も溜飲が下がってスッキリする。

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ダールの作品には毒がある。

悪が善人のフリをしていない。

つまり、悪は悪い顔をしているのでわかりやすい。

物語の最後には、悪にとことん罰が下る。

言ってみれば、勧善懲悪。

だけど、テレビの時代劇にみる勧善懲悪と違うのは、

善人の方にもモヤっとする悪があるところ。

この物語の仕返しだって、そこまでする?ってくらいだし、

「マチルダ」も悪の両親と校長を追放したのは、

彼らがいなくなることが自分の大きな利益につながると

計算していたような節もある。

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そこがダールらしい毒で魅力だし、私がダールを好きな理由。

だけど本作に限っては、

不潔が過ぎて気持ち悪くなるので

何度も繰り返し読めるかって言うとそれは微妙。