騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

ガーデニングの癒し

秘密の花園  フランシス・ホジソン・バーネット著

説明するまでもない有名文学作品で

私がバーネットの作品の中で一番好きな物語だ。

              

主人公のメアリとコリン、

二人とも全然いい子じゃなくて

可愛げもないところが好きなのだが

とんでもなくわがままでいつも不機嫌で、

思い通りにならないとキレる扱いに困るこどもで。

でもそれは親にネグレストされて

愛情に飢えてるからなのだと知ると

いたたまれない気持ちになる。

 

メアリの両親もコリンの父親も自己中な人間だ。

特にコリンの父親には、怒りが湧いてくる。

妻を亡くした悲しみから抜け出せず、

愛と保護を必要とする我が子を放置して旅三昧。

自分の悲しみにどっぷり10年も浸れるなんて

まるで自分大好きなナルシストのよう。

 

しかし、そんなだめな大人の元で育って

ひねくれまくった子どもでも

花に興味を持ったこと、

たったそれだけのことがきっかけで

生きる喜びや希望を見つけていくところが

過去を振り返りがちな大人と違って

子どもとは、未来、希望、夢そのものなのだと感じる。

                

春がきて草木が芽吹き、

花園が息を吹き返すのと共に

メアリとコリンも成長していく。

土いじりをするようになって

生まれて初めて空腹を知ったメアリ。

コマドリは、メアリのはじめての友達だ。

花園に行きたい一心が

もうすぐ死ぬ運命だと信じて

家に引きこもっていたコリンを外に連れ出した。

 

実際、ガーデニングにはストレス軽減や

うつ症状改善効果があるらしい。

屋外での作業は、運動不足を解消になるし、

日光に当たればビタミンDが生成されて骨が丈夫になる。

鳥の鳴き声や自然の音でリラックスもできる。

 

そんなガーデンニングの癒し効果を

最大限に享受しているメアリとコリン、

そして遠く異国の地で花の美しさに触れて

悲しみから抜け出したコリンの父親。

自然に触れることは、

どんな治療や薬よりも効果があるようだ。

                

ところで私が大好きなシーンは、

メアリとコリンが大喧嘩するところだ。

どちらもわがままに育ってるから

相手の気持ちを思いやるとか、

同情するなんて知らないので

容赦なく思ったことを言いたい放題なのが

可笑しくて笑ってしまう。