家に突然、知らない人がワラワラ14人も
押しかけきて勝手にごはんを食べて
宴会を始めたらどうする。
怒る、そして警察に通報する。
そのうえ、祖国を取り戻す旅に同行してほしいと言われたら?
断るに決まってる、怪しさ100%だ。
バギンズもそう思ったのに何故か一緒に旅に出る。
この強引さがファンタジーだ。
ファンタジーはあんまり好きじゃない。
世界観がゆるいと
なんでもありの無法地帯になるから。
制限のない世界の住人や出来事は
どこか空々しくて安っぽく感じる。
だからホビットにも興味がなかったのだが
Amazon Primeの見放題で映画を観たら
原作が読みたくなった。
竜に奪われ、追い出された故郷。
国がない、属する国がない。
自分は何者なのか。
どこにいてもよそ者、難民、流浪の民。
ドワーフはどんな思いで故郷を目指したのだろう。
これと言った力を持たないバギンズは失敗ばかりで
ドワーフの足手まといでしかない。
魔法使いのガンダルフと旅を共にしながら
その旅は苦難の連続。
この世界では魔法は万能ではないようだ。
バギンズに旅に出る理由はなかった。
旅に出たから危険な目に何度も会い、
友を得て、失った。
大好きな家は長いことほったらかしだから
売られる寸前だった。
でもバギンズは、旅に出たことを後悔していない。
妖精や小人は、
人間の欲や業とは、かけ離れた存在として
描かれることが多いが
このファンタジーの住人は、
現代の人間となんら変わらない。
尊大で頑固なトーリンや、
間抜けで頼りないバギンズ、
高慢なエルフ、
強欲で卑しい竜。
さながら人間ドラマを観てるようで
あらゆる困難と悲劇を乗り越え目的を果たし
バギンズが帰路についた時は、なんだか物悲しくなった。
旅が終わってしまう、
旅が思い出になってしまう。
どファンタジーでこんなに好きになったのは珍しい。
もちろん映画の影響も大きいが
原作と映画のあらすじやキャラ設定に大差はない。
となると当然、指輪物語も気になるのだが
あれ、一体何冊あるの?
映画も観てないから、読むのを躊躇する。