騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

12才の生と死

事故で死んだ同級生の日記の1ページが届く。

ほとんど口をきいたこともないオリーブの日記に

マーサと友達になりたいと書いてある。

 

日記を読んだ日からそれが頭から離れなくなる。

誰にもそのことを話せない。

話せないくらい重くのしかかるオリーブの死。

この人ならと打ち明けたら、

盛大に裏切られて傷ついて

頭の中がぐちゃぐちゃになる。

 

f:id:brubebe:20220412173125j:plain

 

12才。

子ども時代が終わりを告げ、思春期が始まる。

大人になる準備に入った体と心は、

いろんなことに敏感になる。

12歳の少女にいきなり突きつけられる「死」。

否が応でもそれに支配される。

 

12才。

小学生から中学生へ大きく環境が変わる頃。

私はその頃のことをあまり覚えていない。

小学校を卒業すると同時に引っ越したので

中学には誰一人として知った者もおらず、

慣れることに必死だったからかもしれない。

その環境の変化のせいか、

内向型でHSP気質だからか

思春期をだいぶこじらせて現在に至っている。

 

独りになりたいと願い、

生きづらさを感じるようになったのはこの頃かも。

私を否定するだけで寄り添ってくれない両親。

上辺だけの友人。

どこにいても疎外感を感じて、

生より死に魅力を感じた。

 

f:id:brubebe:20220412173125j:plain

 

オリーブの死と

ゴッピーに会えなくなる近い未来。

海で溺れ死にそうになったマーサ。

 

私の身近に死がなかったから

呑気に死を魅力的と思ったのだろうか。

否、違う。

飼っていたウサギの死、犬の死、

同居していた祖父の死。

 

マーサが死を身近にして

生の喜びと幸せを感じたのは

いつも寄り添って味方だと思わせてくれる

セーフティネットのようなゴッピーの存在が大きい。

 

人生も後半に入ってなおさらに

生に魅力を感じなくなった私は、

生きる喜びを知った私とは真逆のマーサが

ちょっとうらやましい。

f:id:brubebe:20220412173146j:plain