事故で死んだ同級生の日記の1ページが届く。
ほとんど口をきいたこともないオリーブの日記に
マーサと友達になりたいと書いてある。
日記を読んだ日からそれが頭から離れなくなる。
誰にもそのことを話せない。
話せないくらい重くのしかかるオリーブの死。
この人ならと打ち明けたら、
盛大に裏切られて傷ついて
頭の中がぐちゃぐちゃになる。
12才。
子ども時代が終わりを告げ、思春期が始まる。
大人になる準備に入った体と心は、
いろんなことに敏感になる。
12歳の少女にいきなり突きつけられる「死」。
否が応でもそれに支配される。
12才。
小学生から中学生へ大きく環境が変わる頃。
私はその頃のことをあまり覚えていない。
小学校を卒業すると同時に引っ越したので
中学には誰一人として知った者もおらず、
慣れることに必死だったからかもしれない。
その環境の変化のせいか、
内向型でHSP気質だからか
思春期をだいぶこじらせて現在に至っている。
独りになりたいと願い、
生きづらさを感じるようになったのはこの頃かも。
私を否定するだけで寄り添ってくれない両親。
上辺だけの友人。
どこにいても疎外感を感じて、
生より死に魅力を感じた。
オリーブの死と
ゴッピーに会えなくなる近い未来。
海で溺れ死にそうになったマーサ。
私の身近に死がなかったから
呑気に死を魅力的と思ったのだろうか。
否、違う。
飼っていたウサギの死、犬の死、
同居していた祖父の死。
マーサが死を身近にして
生の喜びと幸せを感じたのは
いつも寄り添って味方だと思わせてくれる
セーフティネットのようなゴッピーの存在が大きい。
人生も後半に入ってなおさらに
生に魅力を感じなくなった私は、
生きる喜びを知った私とは真逆のマーサが
ちょっとうらやましい。