騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

読みくらべ

「まどのそとのそのまたむこう」

大好きなモーリス・センダックの絵本。

この絵本の絵をかわいいと思う人は少ないかもしれない。

どの絵も暗く、写実的なようでいて現実離れしていてとってもセンダックらしい。

一番可愛いはずのあかちゃんがとっても不気味なところも好き。

 

お気に入りの絵本だったのだが病んだ時に手放してしまったので

また欲しくなってAmazonで検索して驚いた。

絶版になっていたのは想定内だが同じ絵本がタイトルを変えて出版されていたのだ。

しかも、超絶ださいタイトルになっていた。

「父さんがかえる日まで」

ダサすぎる・・・絶句した。

こんなタイトルをつけた出版社や翻訳者に怒りを覚えた。

 

もちろん買う気は失せた。

わたしがほしいのは「まどのそとのそのまたむこう」だ。

と、買わずにいたものの気になっていた。

翻訳本は訳によってだいぶ印象が変わる。

二冊の読み比べがしたい。

図書館のHPを検索したら別々の図書館にあったので図書館をはしごして借りてきた。

 

                

 

「まどのそとのそのまたむこう」

文章は、詩的で抽象的な表現で文字数は少ない。

 

「父さんがかえる日まで」

絵の場面をしっかりと説明するような文章で文字数も多い。

子どもに読み聞かせするにはこちらが向いているのかも。

子どもがこの絵を好むかどうか微妙だが。

 

私は「まどのそとのそのまたむこう」の方が好きだ。

訳が詩のような感じなので絵を自由に解釈できる。

反面、「父さんがかえる日まで」は、

訳が説明文のようなので絵の解釈の余地がないというか、

文章に頭がもってかれてしまう。

どちらがいいとかの話ではなくあくまで私の好み、印象だが。

 

2冊を読み比べると当然、原語で読みたくなってくる。

どちらの訳が原語に近いのだろう。

果たして、私の英語力で読めるだろうか。

絵本ならなんとかなる?

 

ちなみに英語のタイトルは「Outside Over There」

「まどのそとのそのまたむこう」が意味は近い。

「父さん」なんて言葉、原語タイトルのどこにもない。