物語は、誰もが耳にしたことがある昔話や童話に似てる。
お姫さま誕生の洗礼式に呼ばれなかった魔女がお姫さまに呪いをかける。
すべての重さを奪う呪い。
心もかるく
体もかるく
重さはみんな飛んでいけ。
よく考えたなこんな呪い。
かけられた本人より、周りが苦しみ、嘆き、悲しむ呪い。
飛ばされしまうほど軽いのは困るが、
もっと体が軽くなりますようにと日々願い、
何も考えない頭と心をうらやましいと思う私。
軽いから風で飛ばされてしまう。
お姫さまが身につけた物も重さがなくなる。
うっかり飛んで行ってしまわないようにするのに一苦労。
それよりもやっかいなのが
頭も精神も心も軽いこと。
お妃さまが涙を流せば「ほっぺたから水が出るのね、変なの!」と笑う。
王さまが怒れば「おもしろい!」と笑って踊り回る。
物事の深刻な面がわからない。
悲しみも苦しみもわからない。
本人は幸せだろうが周りは困るに決まってる。
大好きな湖の水が減っていって、衰弱していくお姫さまを見て
湖とお姫さまを救おうと申し出る王子さま。
まさに「命がけの恋」ですべてを捧げる王子さまとは対象的に
自分の為に死ぬ人が現れて有頂天になって喜ぶお姫さま。
からっぽな頭と心。
なんかモヤモヤするけど
これがハッピーエンドになるのだ。
私のもやもや。
なぜ王子は、空っぽな姫に恋をする?
命がけで愛せる?
姫が美しいから。ルッキズム。
物語の冒頭で、王様は、子が生まれないのは妃が悪いと責めて嘆く。
セクハラとモラハラ。
昔話や童話の類は、言わずもがなルッキズム、ハラスメントの宝庫。
男尊女卑アレルギーの私はもやもや。
それでも何度も読んでしまう。