騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

何度読んでも疑問だらけ。でも、この言葉だけで満足。

 

金の鍵  THE GOLDEN KEY

ジョージ・マクドナルド  George MacDonald 

 

虹のたもとで金の鍵を見つけた男の子モシー。

母親を亡くし、父親と召使いに放置された女の子タングル。

二人が一緒に鍵穴を見つける旅に出る物語。

 

タングルが妖精の悪戯から逃げて迷い込んだのは

妖精の国のおばあさまの家。

 

不思議なおばあさまの導きで旅に出る二人。

目的は、金の鍵の鍵穴を探すこと。

箱の鍵なのか、家の鍵なのか誰も知らない。

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いつの間にか、はぐれてしまう二人。

一人になっても旅を続ける。

海の老人、大地の老人、火の老人に導かれ再会する二人。

 

何度読んでも疑問がいっぱいな物語。

文字を追ってるうちに、なんだかわからなくなって

ページをめくって行ったり来たり。

 

なぜ、モシーは金の鍵を見つけられた?

そもそも金の鍵って何?

おばあさまの存在って?

モシーとタングルは、この世に生きてる?

時間の流れが遅いのか早いのか。

旅に出る意味は?

旅を通して何か得た?

何か変わった?

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つい、道徳的な意味を探してしまう。

マクドナルドは、道徳的意味を込めて書いてはいないだろう。

絵本や童話には、必ず道徳的意味があると刷り込まれてるみたい。

娯楽として愉しめばいいのだ、この世界を。

 

この物語の大好きなところ。

自ら“おばあさま”と言いながらとっても美しく

お婆さんに見えないおばあさまの言葉。

「年寄りなんかになってる暇がなかった」

「年寄りなんかになるのは怠けてるから」

 

妖精の国に住んでない私は、老化に抗えないから

こんな言葉思い浮かばない。

だから、この言葉を知れただけで満足。

この言葉以外は、覚えていないくらい強烈に響いた。