騒音のない世界で本を読む

児童文学好きの読書日記

逆境にめげない孤児、古典少女文学のセオリー

私好みなタイトルと表紙絵。

りんごが大好きな私は、“りんご”に引っかかる傾向がある。

原題は「Understood Betsy」

直訳するなら「理解されたベッツイー」か?

可愛くないね。

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孤児のベッツィーが引きとられた先で

周りの大人に影響され影響し、成長する物語。

古典少女文学の定番。

古典少女文学に親しんでる人はデジャブ感満載だ。

孤児の少女の物語と言えば

赤毛のアンが有名。

他にもエミリー、メアリー、セーラ、ポリアンナ、ジュディetc.

 

赤毛のアン

赤ちゃんの時に両親を亡くし、孤児院を出たり入ったり

愛情に飢えた子供時代。

間違って送られたクスパート家で愛情と家族を得る。

 

本書、9才の孤児ベッツィー。

アンと同様、赤ちゃんの時に両親を亡くすが

フランシスおばに引き取られ、何不自由なく育つ。

愛情深く生真面目なおばの過保護、過干渉で

神経質で臆病で病弱、甘やかされた都会っ子になる。

メアリーにちょっと似てる。

まあ、メアリーは親の育児放棄が原因だけど。

ベッツイーと暮らせなくなったフランシスに変わり

バトニー家で暮らすところからベッツイーの成長が始まる。

 

想像通りバトニー家は、ど田舎の農家。

都会とは違う、蜜で濃い人間関係、不便な生活。

洋服を着せてくれる“ねえや”はいない。

厳しい自然環境とたくましい人間に揉まれて

ベッツイーは子供らしい自我のある少女に変わる。 

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想像通りの物語。

ハラハラドキドキはない。

これぞ私が求める少女文学。   

しかし不思議だ。

ベッツイー、アン、セーラ、ポリアンナ、物語の核が似ている。

孤児の少女が逆境にめげず、たくましく生きる。

作品が発表された時代も近い。

一番古いのは、多分セーラ。

作家が他の作品に影響された可能性もある。

史実に興味がないので推測だが、

孤児が沢山いる時代背景によって必然的に生まれた物語かも。

      

もしくは、女性の地位が低く自由がなかった時代、

女性を少女(こども)に置き換えて

自由に発言させ冒険させて

擬似的に楽しむ人が多かったのかもしれない。

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