少女ポリアンナ
ポリアンナの青春
エレノア・ポーター 著
この本は出版された1913年、
アメリカで100万部売れた大ベストセラー。
苦しい環境にいても嬉しいことを見出す。
悲しみより嬉しさを追求する。
ポリアンナの生き方に共感、影響された人は多かったようだ。
孤児になった11才のポリアンナが
独身のポリー叔母さんに引き取られるところから物語が始まる。
どんなにつらい事にも嬉しいことを見出すゲーム、
嬉しい探しゲームが好き。
人形が欲しかったのに、慈善箱に入っていたのは松葉杖。
でも松葉杖を使わなくていい足であることが嬉しい。
ポリー叔母さんに亡くなった父親の話をするなと言われて嬉しい。
父親の話をしない方が気持ちが楽になる、叔母さんの気遣いが嬉しい。
叔母さんの意地悪も親切から出たと信じる性善主義者。
“ポリアンナ効果“という心理学用語は、この物語に因んでる。
ネガティブな言葉よりもポジティブな言葉の方が影響を及ぼすこと。
ポジティブが正解な世の中だが、
元来人間は、ネガティブな生き物。
ネガティブだからこそ、この地球で進化し滅びず生きてきた。
ポジティブ、何も心配しなくても大丈夫!とお気楽に生きていたら、
肉食獣に食われ、災害に見舞われ、
備えもないから、死まっしぐらでとっくに絶滅していただろう。
低出力モードで生きる私。
私にとって現状維持とは、ポジティブと同義だが
世間は、これをネガティブと言うだろう。
私がこの本を読んで「素敵、見習わなくちゃ」となるわけがない。
超楽天主義に胸やけがする。
行き過ぎたポジティブ。
“ポリアンナ症候群”と言う。
事の良い部分だけを見て負の部分から目を逸し、現実逃避して自己満足すること。
ポリアンナ効果が◯なら
ポリアンナ症候群は✗か。
振り切れた楽天主義と性善主義は、
ポリアンナが子供だからともいえる。
20歳になったポリアンナは、悲しいことが続き
嬉しい探しゲームができなくなる。
嬉しいことを探せないほど、つらくて悲しい現実があることを知る。
そうでなきゃ人間じゃない。
いい大人が
“世の中、良い人ばかりで嬉しいことしかないわ”と
始終ニコニコしていたら、不気味だ。
物語の終わりがハッピーエンドなのは予想通りだが、
すべて都合よくおさまって現実離れしすぎ。
世の中は、楽天主義と性善主義で満ちているのだと締めくくられる。
そんな世界、もう現実じゃない。
この物語は、ファンタジーなのか。